レポート1
変化するまち二子玉川!新旧をつなぐコミュニティづくりとは!
日時:平成28年3月3日(木) 場所:多摩区総合庁舎11階会議室
講師:橘たか(合同会社橘代表、二子玉川商店街振興組合理事)
日本最初のショッピングセンター高島屋、新たに生まれた再開発「二子玉川rise」、多摩川を横断する旧大山みち。その旧道沿いにある昔ながらの商店街と小学校。
今回の講師で二子玉川商店街振興組合理事の橘たかさんは、再開発でまちが大きく変化し新しい住民が増えるという状況に対して、「道」にこだわった取り組みを進めてきました。
その一つは、二子玉川商店街の中は、その沿道に小学校があるため子どもたちの通学路でもあります。橘さんは地域住民の意見から商店街周辺の交通事情に課題があることを把握しました。その、解決に向けて住民発のプロジェクトを立ち上げ、平成26年2月に世田谷区玉川地域で区内初の「ゾーン30※」の導入に至りました。
※区域(ゾーン)を定めて時速30キロの速度規制を実施するとともに、その他の安全対策を必要に応じて組み合わせ、ゾーン内におけるクルマの走行速度や通り抜けを抑制するしくみ。
もう一つは、「二子玉川青空アート&マート」。二子玉川商店街は、空き店舗がほとんど無い状態ですが、祝日や日曜日には閉めている店舗が多いため、いわゆるシャッター商店街だと地域住民に誤解されることもあるようです。そこで半年に一度、歩行者天国にした商店街で、商店の前にアーティストが出店し、作品を販売したり、ライブペインティングをしたり、路上で落書きをしたりといった、地域と商店街をつなげる新しいイベントが生まれました。企画も運営も地域のボランティアによって実施されています。平成23年からはじまり、地域の人にも認知される8,000人以上が参加するイベントになりました。
町内会・自治会という視点では、二子玉川が再開発でまちが大きく変化することに対して、町会、商店会、企業、NPOなどさまざまなステークホルダーがつながり、まちの事を共有する「二子玉川100年懇話会」という場があります。このようなラウンドテーブルがあることで、まちの課題や新しい取り組みがスピーディーに進んでいくことができます。
二子玉川には、様々な組織や活動があり、新しく二子玉川に住んだり、働いたりと言った立場の人に地域の活動を知ってもらい、参加してもらうための取り組みとして「ちょいまち会」(ちょっとたまがわの街でよいことしてみる会)という企画があります。地域にある様々な活動を知る「ゼミ」、実際に活動に参加・体験する「実習」、実習することで得た気づきを参加者同士で共有する「報告」の3つのステップで、敷居の低い活動の入口を設けているのが特徴です。
まちが変化していく状況の中で、新しい人やものを受け入れ、まちづくり活動の輪を広げていくお話が印象的でした。
事例紹介:長沢自治会 末吉 一夫会長
長沢自治会は年中行事に子どもや若者が楽しく参加しているのが特徴です。専修大学との連携や、まちコンの開催、ご当地アイドル「川崎純情小町」を呼んだ祭礼など新たな挑戦を続けています。
意見交換(カフェタイム)
後半は、カフェタイムと称して、テーブルごとに意見交換をしました。
1ターン目は「自分と地域の関わりを語ろう」というテーマで話し合い、席替えを挟んで2ターン目に「ミライの町内会・自治会についてアイデアを出そう」というテーマで話し合いました。
各テーブルで話し合ったことで印象に残ることを発表してもらいました。
いくつかのキーワードを紹介します。
- となり近所の顔もわからない社会。あいさつできる、近隣との接点を増やす、気軽に参加できる場やしくみをつくるなど、つながる社会にしたい
- 通りすぎるだけの道を、歩いて通る道へ(自分のまちの道として意識しよう)
- タテ社会から、年齢などに関わらないヨコのつながりを大事にする社会にしよう
- 若者、よそ者、変わり者を受け入れ、多くの人を巻き込んで、活気あふれるまちにしよう
- まちは大きく変わっているのに、まちの活動が変わらないのはミスマッチである
- 町内会・自治会はすごいことをやっている。それをもっと発信したり、伝えるための工夫が必要
- 参加の入口ははじめての人にとって分かりづらいことを常に意識することが大事
- 多摩には「マグネット多摩」のようなチラシをインターネットで紹介するサービスもあり活用すると良い